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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
外では夜に入るとともに豪雨にひどい嵐が吹き添って来たと思われて、よっぴて荒れ狂うていたが、私はそれとは反対にかえって安らかに眠りに陥ちた。
翌日は午前はまだ暴風雨の名残りがつづいていたが、午過ぎから風も次第に歇み、雨も晴れた。女のことは始終念頭にあったけれど、実はあまりにそのことばかり長い間思い続けて、思いに疲れているので、たまにはほかのことで気を晴らしたく、そのころちょうど東都から京都に来ていた知人のところを訪ねたりしてその日は一日消した。
その翌日は、昨日の暴風雨の名残りは痕跡もなく綺麗に拭い取ったような朗らかな晴天になった。紺碧の空は高く澄み渡って、一昨日の豪雨に洗い清められた四囲の景色が、暑くも寒くもない初秋の太陽の光を一杯浴びているのが、平常でさえ美しいその街の眺めを、今日はあたかも玻璃の中の物を窺いて見てるように明麗であった。
今日は一つ女の先にいた家の様子を見て来よう。――無論女からの手紙を信じてもうそこにはいないものと思っていたから――と思って、私は午少し前に衣服を更めて、旅館からはすぐ近いところにある、電車通りを向うに渡った横町にある路次の中に入って往ってみた。