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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
しかし、さっきのお話で銭を五百円出せというのはどういうわけです?」
きっぱり、そういうと、その男はまたうなずいて、妙な東京弁を交えながら、
「うむ、そりゃ君の心持も私にはようわかっている。だから、病気になったことについては、情状を酌量して、どうしてくれとは言わぬから、女のことは諦めてもらいたい。それでも、どうしても君の方へ連れて来たいというなら、五百五十円か、それだけの金を君の方から出してもらわねばならん。その金が出来るか」
人を馬鹿扱いにして宥めるような、また足もとを見透かして軽蔑したようなことをいう。私は、情状を酌量するもあったものではないと心の中でその浅薄な言い草を腹を立てるよりも笑いながら、
「へえ、五百何十円! それはどうした金です?」と訊き返しながら、今までさんざん人を騙して、金を搾れるだけ絞っておきながら――もっとも本人は何にも知らずにいるのかも知れぬが――どこまで虫の好いことを言うと思った。
すると、母親はまた興奮した顔で傍から口を出して、
「その金はどうした金て、あんたはん、まだ松井さんにあの娘の借金がおすがな。あんたはんも私のところにおいやした時に、何度もあの娘に訊いておいやしたやおへんか、まだたんとの借金おした。