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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
中二日置いて、この間からいっていた、外套を買ってやる約束があったのでまたお宮に逢いに行った。清月にいって掛けるとお宮はすぐやって来た。
「今日外套を一緒に買いにゆこう」
「今日」と、お宮は嬉しさを包みきれぬように微笑い徴笑い「これから? 遅かなくって?」行きとうもあるし、躊躇うようにもいった。
「ゆこうよ。遅かない」
「そうねえ。何だか私、今日怠儀だ。……あなた一人行って買って来て下さい。私どこへもゆかない、ここに待っているから……その辺にいくらもある」と、無愛相にいう。
「いや、それはいけない、僕は一緒に物を買いにゆくのが楽しみなのだ」
先だってから、
「私コ―トが欲しい。あなた表だけ買って下さい。裏は自分でするから」
といっていた。私はお前と足掛け七年一緒にいたけれどコート一枚拵えてはやらなかった。それに三、四度逢ったばかりの蠣穀町の売女風情に探切立てをしていくら安物とはいいながら女の言うがままにコートを買ってやるなんて、どうしてそんな気になったろうかと、自分でも阿呆のようでもあり、またおかしくもなって考えて見た。そうすると先き立つものは涙だ。
「ああ、おすまには済まなかった。