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うつりが

日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江

近松 秋江

線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁

青空文庫

の動悸を抑えるようにしてそのまま路次を出て来た。

しかし、もう、そうなると、今までのように、女の気を測りかねて、差し控えてばかりいられなくなった。何とかして家の中へはいり込んでゆく方法はないものかとさまざまに心を砕きながら、好い機の来るのを待っていた。すると、いつもの通り夜九時ごろになって※(「木+靈」、第3水準1-86-29)子窓の下に立って聞くと、めずらしい人が来ていると思われて男の話し声がする。はっと、私は胸を躍らしながら、じっと耳を澄ますと、来ているのは一人だけでないと思われて女の話し声も交っている。どんなことを話すかとなお聞いていると、

「ほんならもう帰りましょうか」と四、五十ばかりの女の声がして、

「ああ帰りましょう」と、それに応ずる男の声がする。その晩は家の中も明るい。それで急いでまたそっと格子に取りついて伸び上がって、ちらと家の内を窺うと、一番奥の、たしか六畳の座敷に、二、三人の客がちょうど今立ち上がって帰ろうとするところである。私は急いで格子を滑り下りて、すぐ左手の隣りの家ではまだ潜戸を閉めずにあったので、それを幸いと、そこの入口に身を忍ばせて上り框に腰を掛けながら、女の家から人の出てゆくのをやり過していると、