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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
といって、主人は自分で手まめに次の間から座蒲団などを取って来て、母親にすすめた。
私は、母親の入って来たのを見ると、まるで敵同士なので、ぷいと立ってそこを外そうとすると、主人は、
「ああ、兄さんもどうぞそこにいてとくれやしたらよろしい。構しまへんがな。さあ、どなたはんも寒うおすさかい、遠慮せんと、ずっと火鉢の傍に寄って当ってとくれやす。……お母はんも、どうぞ私のところではもう何もいわんとおいとくれやす。お話はまた後でゆっくり聴きますよって」といって、私の方に向い、「兄さんも、どうぞそのおつもりで」と、顔に多く物を言わして、主人は再び隣りへ引き返していった。
主人がそういうのにつれて、ほかの者も狭い茶の間の一つところに母親や私を坐らした。見ると母親はさっきの激昂した様子は幾らか和らいで、越前屋の者に対しては笑顔をしながら、それでもまだ愚痴っぽく「えらい遅うから兄さんもおいそがしいところ皆様にお世話かけてほんまに済まんことどす。……あんたはん、昨日こちらのお婆さんにお頼みやしたやおへんか。その返事もまだ聴かんうちから、よその家へ黙って入ってきやして、警察へ訴えて出たら、あんたはん罪人やおへんか。