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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
私はひとり語のようにいって、心の中でその時血の出るような苦しい金の才覚をした悲しい記憶を呼び起した。すると女主人も思案するような顔をして、
「ふむ――変どすなあ……そやけどお園さんは、ええようにいうてお客さんを騙してお金を取るような悪い知恵のまわる人やない。私のとこに七年も八年もいたのどすさかい、あの人の気性は親よりも誰よりも私が一番よう知っています。商売かて方々渡って歩いたりしたこともないし、初めて私のところから出て廃めるまで一つところにいて、長い間商売はしてもいつまでも素人のとおりどした。三野村さんかて、お園さんがあんたから貰う金で花をつけて遊ぶのどうするのいうことはない、心の綺麗な人どした。……お園さん本当に三野村さんに惚れとったのやろか」
女主人はそういいさしてまた傍にいる若奴の方を振り顧った。私はそれに口を入れて、
「あの女は自分でもよくいっていた。わたし、こんな商売していたかて、まだ一度も男に惚れたいうことおへん。そういっていたが、三野村ともそんな捫着がたびたびあったくらいだから無論嫌いではなかったろうが、そう魂を打ち込んで男にほれるというような性質の女じゃなさそうですな」