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うつりが
日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江
近松 秋江
線上閱讀近松 秋江《日本の文学 8 田山花袋 岩野泡鳴 近松秋江(うつりが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 152,306 字 · 300 頁
知らないの。ただそうかと思ったからちょっと聞いて見たのさ」
加藤の二階に上って来てからもお宮は初めから不貞腐れたように懐手をしながら黙り込んでいた。
「どうしたの……大変沈んでいるじゃないか」
「…………」
「何か心配なことでもあるの?」
「うむ!……あなた私にしばらく何にもいわずにおいて下さい。……」そういってお宮はまた黙りこんだ。
私は、あまりに人を馬鹿にしたわがままな素振りにかっとなったが、それでもじっと耐えてうっちゃっていた。するとお宮はどう思ったか、
「……柳沢さんは好い人ねえ」と、だしぬけにいった。
「うむ。……お前柳沢に逢ったの?」
「ほほほほ」お宮は莫蓮者らしい妖艶な表情をして意味ありそうに笑った。
「逢ったのだろう」さっきからちょっとの間に恐ろしく相形の変ったお宮の顔を瞻った。
「そりゃあ柳沢に逢おうと、だれに逢おうと、どうだって構わないのだが……」
「私、あなた嫌い!」
「そうか、そりゃああんまり好かれてもいないだろうが。嫌いな男のところへ無理に来てもらってお気の毒だったねえ。じゃこれから帰ってもらっても差支えないよ」
私はたまりかねた胸をじっと抑えながらいった。