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たわらとうだ
日本の英雄伝説
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《日本の英雄伝説(たわらとうだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 40,666 字 · 84 頁
」
と思いました。そこで天子さまに願って、自分が御褒美を頂く代わりに、宗任はじめ敵のとりこを残らず許してやりました。その中で宗任はそのまま都に止まって、義家の家来になりたいというので、そばに置いて使うことにしました。
宗任はいったん義家に命を助けてもらったので、たいそうありがたいと思って、義家の徳になつくようになったのですが、元々人を恨む心の深い荒えびすのことですから、自分の一家を滅ぼした義家をやはり憎らしく思う心がぬけません。それでいつか折があったら、殺して敵を討ってやろうとねらっておりました。けれども義家の方はいっこう平気で、昔から使いなれた家来同様宗任をかわいがって、どこへ行くにも、「宗任、宗任。」とお供につれて歩いていました。
するとある晩のことでした。義家はたった一人宗任をお供につれて、ある人の家をたずねに行って、夜おそく帰って来ました。宗任は牛車を追いながら、今夜こそ義家を殺してやろうと思いました。そこで懐からそろそろ刀を抜きかけて、そっと車の中をのぞきますと、中では義家がなんにも胸にわだかまりのない顔をして、すやすや眠っていました。