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たわらとうだ

日本の英雄伝説

楠山 正雄

線上閱讀楠山 正雄《日本の英雄伝説(たわらとうだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 40,666 字 · 84 頁

青空文庫

いつもは一晩ぐらいお籠りになっても、明日の朝はきっとお出ましになって、みんなにいろいろと尊いお話をなさるのに、今日はどうしたものだろうと思って、お妃はじめおそばの人たちが心配しますと、高麗の国から来た恵慈という坊さんが、これは三昧の定に入るといって、一心に仏を祈っておいでになるのだろうから、おじゃまをしないほうがいいといって止めました。

するとちょうど八日めの朝、太子は夢殿からお出ましになって、

「先だって小野妹子の取って来てくれた法華経は、衡山の坊さんがぼけていたと見えて、わたしの持っていたのでないのをまちがえてよこしたから、魂をシナまでやって取って来たよ。」

とおっしゃいました。

その後また小野妹子が二度めにシナへ渡った時、衡山のお寺を訪ねると、前にいた三人の坊さんの二人までは死んでしまって、一人だけ生き残っておりましたが、その坊さんの話に、

「先年あなたのお国の太子が青い龍の車に乗って、五百人の家来を従えて、はるばる東の方から雲の上を走っておいでになって、古い法華経の一巻を取っておいでになりました。」

と言ったそうでございます。

五

太子のお妃は膳臣の君といって、それはたいそう賢くてお美しい方でしたから、御夫婦のお仲もおむつましゅうございました。