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たわらとうだ
日本の英雄伝説
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《日本の英雄伝説(たわらとうだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 40,666 字 · 84 頁
坊主ではない、てんぐだというものもありました。そしてみんなこわがって、日が暮れると五条の橋をとおる者がなくなりました。
ある時弁慶がとって来た刀を出して数えてみますと、ちょうど九百九十九本ありました。弁慶はよろこんで、
「うまい、うまい、もう一本で千本だぞ。おしまいに一ばんいい刀を取ってやりたいものだ。」
と独り言をいいました。そしてその晩はわざわざ五条の天神さまにおまいりをして、
「もう一本で千本になります。どうぞ一ばんいい刀をお授け下さい。」
といって、それからいつものように、五条の橋の下へ行って立っていました。
三
牛若は五条の橋の大どろぼうのうわさを聞くと、
「ふん、それはおもしろい。てんぐでも鬼でも、そいつを負かして家来にしてやろう。」
と思いました。
月のいい夏の晩でした。牛若は腹巻をして、その上に白い直垂を着ました。そして黄金づくりの刀をはいて、笛を吹きながら、五条の橋の方へ歩いて行きました。
橋の下に立っていた弁慶は、遠くの方から笛の音が聞こえて来ると、
「来たな。」
と思って、待っていました。そのうち笛の音はだんだん近くなって、色の白い、きれいな稚児が歩いて来ました。