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あゆむ
日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)
戸田 豊子
線上閱讀戸田 豊子《日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)(あゆむ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,183 字 · 44 頁
そう、そう、最近郷里の友から報告されている、「県で始めての立禁争議――暴動化」について、一寸、知らせてやりたかったのに、と思った。
しかし、何と言っても、とも子の心は渡の方へ惹かれて行った。子供のように靴の踵で電車の床を叩きながら、頭だけは一足先に渡のいるアパートへ吸われている。……狭い階段をぐるぐる馳け上る、一階の突当りが茶色の扉でマツダ瓦斯入電球のポスターが貼りつけてある、二階目の踊り場の窓にはボール紙の札が下って、「雨の降る時や風の強い時はこの窓をお締め下さい」しかし、窓は何時行っても半分と硝子の篏っていた例しがない……四階は独身室で、巡査も、車掌も、教員も、下駄の歯入屋も職工もいた。社会主義者もいた。――どんな顔をしてるかしら――便所の臭気が流れる薄暗い廊下に立って、ドアにぴったり体をくっつけて、叩く、すると、明り窓へ彼の影が揺れて……。
のろいテムポで飛んでゆく町の灯を、まどろっこしく、神経的な眼で眺めた。
「食うこと許り考えてるのね、貧乏人って」
「何時」
「我々だって、今」
「結構なことだよ――じゃ、ご飯とお新香を買って来ようね」
とも子は持って来たお菜を包紙のまま畳の上へ置いた。