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あゆむ

日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)

戸田 豊子

線上閱讀戸田 豊子《日本プロレタリア文学集・23 婦人作家集(三)(あゆむ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,183 字 · 44 頁

青空文庫

「あ、おふじさんなの、黙って上って来ればいいのに。」

鉄ちゃんからの使いだった。明日の公判に関する打ち合せ――松枝は一通り紙片へ目を通してから、文坊を自分の膝へ抱き取った。

「いい子ね。」

誕生近いのにまだくらくらする様なひ弱い子供であった。松枝の口や鼻をピシャピシャ打って喜んだ。

「坊や小母ちゃんの髪を引っぱっちゃ駄目だよ、さあ、母ちゃんへおいで。」

おふじは気の毒がって手を出した。

「いいわね、坊や。――鉄ちゃんのおっ母さん相変らず元気でしょう。」

「ええとても。」

「今度の公判には鉄ちゃんのおっ母さんだの関口の小母さんだの、組合員の家族を全部誘って押しかけましょうね。」

中島が帰って来た。冴えない顔色だった。出獄して病床にある彼女の夫が最近余り快くないのだ。――今、組合員の家を一通り廻って来たんですけど、余り結果がよくないんですよ。明日の公判廷へ何れ位動員できるか、まだ見通しがつかないんです。山崎――って言うあの頭の禿げた親父さんとこのおかみさんなんか、とても猛烈に反対するのよ、木村や鉄ちゃんが行くのだったら俺もゆく――って親父さんの方がそう言うと、バカだね、此の人は何を言ってるの――ってお内儀さんが、いきなりおやじを突きのけて、出しゃ張って来るのよ、家じゃそんなとこへ行きませんから! え、行きませんとも!