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じょきゅう
日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集
細井 和喜蔵
線上閱讀細井 和喜蔵《日本プロレタリア文学集・7 細井和喜蔵集(じょきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 16,732 字 · 33 頁
と言って珍くも無い料理までも食べさせなければ承知しない。
大工は色んなことを話しながら執拗に腰を据えて動かなかったが、かれこれ二時間も経ってから漸く立ち上って五円近くの会計を済まし、彼女に一円のチップを与えて出て行った。此の客は凡そ三日おき位に一遍ずつ必ずやって来る馴染なのであった。彼には神さんも子供も家もある。酒が飲み度ければ神さんに酌をさせて、ご馳走が食べ度ければ何でも家で子供や神さんと一緒に食べたらよさそうなものであるのに、水の混った料理屋の酒を飲んで一円も給仕人にチップを出すとは? 登恵子には彼等の趣味が殆ど分らなかった。それも家では美味しい料理が出来ないからたまに上手な商売家で晩餐を奢るというなら兎もあれ、場末の小料理屋が下手なコックと悪い材料を使って拵えたものなど何処に味があろう? 彼女にはこんな処へ寄りつくお客どもは味も風味も分りはしない唯もう飲みさえすればいいという、豚のような人間共だと蔑まれた。
それから十二時も過ぎて午前一時までに二三組の客を送迎した登恵子は、最後に勤人とも何とも似体の知れぬ洋服の客を受け持った。彼は初め二三本のビールを一息に飲みほしてから思い出したように一皿の料理を注文して食べ、それからウイスキーのコップを蟻のように舐めては薄気味悪い秋波を送って何時までも立たない。