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しゅんせつせん

日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集

葉山 嘉樹

線上閱讀葉山 嘉樹《日本プロレタリア文学集・8 葉山嘉樹集(しゅんせつせん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 34,935 字 · 73 頁

青空文庫

「いや、構わねえ。お前、機械を片附けといて呉れよ。俺が仕度して来るから」

「そうかい」

秋山は見張りへ、小林は鑿を担いで鍛冶小屋へ、それぞれ捲上の線に添うて昇って行った。何しろ、兎に角火に当らないとやり切れないのであった。

ライナーの爆音が熄むと、ハムマーの連中も運転を止めた。

秋山は陸面から八十尺の深さに掘り下げた、彼等自身の掘鑿を這い上りながら、腰に痛みを覚えた。が、その痛みは大して彼に気を揉ませはしなかった。何故ならば、それはいつでもある事だったから。

ダイの仕度は出来た。

二十三本の発破が、岩盤の底に詰められて、蕨のように導火線が、雪の中から曲った肩を突き出していた。

五人の坑夫、――秋山も小林も混って――は、各々口にバットを喞えて、見張からの合図を待っていた。

何十年も、殆んど毎日のように、導火線に火を移す彼等であっても、その合図を待つ時には緊張しない訳には行かなかった。

「恐ろしいもんだ。俺なんざあ、三十年も銅や岩ばっかり噛って来たが、それでも歯が一本も欠けねえ」

「岩は、俺たちの米のおまんまだ」

と云う程、慣れ切った仕事であったのに、それでもその一瞬間は、たとい夏であっても体のどこかに、寒さに似たものを感じるのであった。