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にほんふどうき

日本婦道記

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《日本婦道記(にほんふどうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 12,620 字 · 26 頁

青空文庫

……私は肥えはじめた。乳も余るほど出たし子供の肥立ちもよかった。いちばん嬉しかったのは欣之助と貞二郎がよろこんで呉れたことだ。まだ百日も経たぬものに欣之助が竹とんぼを作って来ると、貞二郎も負けないで笹舟を見せようとする、兄が抱きたがれば弟がさきに手を出すという風であった。

それからの一年はそれまでのどの年より疾く経って、康三郎の誕生日も無事に済ませ、良人のいない三どめの正月を迎えた。その十五日の夜半のことである。いちどは必ず起きて子供たちの寝ざまと戸閉りを見るのが習いで、そのときもまず上のふたりの寝所を覗き、家のしまりをあらためて戻った。そして夜具の中へはいろうとした、そばに寝かせてある康三郎をみて寒いかなと思い、すぐ立っていって薄いほうの掛け衾をとりだした。が、とりだして来た衾を掛けてやろうとして、はっと息が詰まった。武家の子は柔弱に育ててはならない、暑いといって着崩したり寒いからといって着重ねたりは決してさせないものだ。欣之助にも貞二郎にもそれだけは厳しくしてきた。ふたりはそうしてきたのに、いま康三郎には無意識のうちに衾を掛け足そうとする。

――なぜだろう、いうまでもなくわが身を痛めた者への、躾けということもふと忘れるほどの本能的な愛に違いない。