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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁

青空文庫

『万葉』の歌人の、「あなたが愛するというのは気やすめだ」という恨みや、「せめて逢った時だけでも優しいことのありたけを言ってほしい」という訴えなどは、これに比べればはるかに細かく鋭い。

しかし直接な詠嘆より離れて、幾何かの余裕を保ちつつ、恋の心理を解剖しあるいは恋の情調を描くというこの『古今』の傾向は、必然に歌人の注意を「瞬間の情緒」よりもその「情緒の過程」の方に移させる。すなわち瞬間の情緒の告白である歌よりも、その情緒の歴史を描くところの物語を欲する。

人しれぬわが通ひ路の関守はよひ/\ごとにうちも寝ななむ  (恋三、業平)

冬枯の野べと我が身を思ひせば燃えても春を待たましものを  (恋五、伊勢)

のごとき歌は、もはや明らかに物語の要求を内に蔵した歌である。従ってかくのごとき歴史を歌わむとする心が、歌の形式の不便を漸次強く感ずるとともに、ついに物語を生み出すに至ったと考えることもできる。物語中の最古のものに属する『伊勢物語』が、『古今集』中の恋歌の前書きを拡張しまた数々の歌を連絡することによって生まれたという事実は、この見解を雄弁に立証するものである。