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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁

青空文庫

そうしてこの年若さにふさわしい描写もこの草子の内に欠けてはない。たとえば、中宮の妹原子が東宮の女御として淑景舎に入られたのは、中宮二十歳の時であるが、清少納言は、衣裳のことを気にせられる女らしい中宮の面影などを点出しつつこの時の儀式を詳細に描いた後に、次のごとき場面を書き加えている(くちをしきもの。「淑景舎」)。その日の午後二時ごろに主上が中宮のもとへ来られて、ともに御帳(寝所)に入られる。夕方主上は起きいでられて、髪を調えられて帰って行かれる。やがてまもなくまた中宮に御殿に上れという御使いが来る。中宮は、「今宵はえ、など渋らせ給ふ」。父関白がそれをきいて、「いとあるまじきこと、はやのぼらせ給へ」としかる。そこへ東宮から妹原子への御使いも来る。中宮は「まづさば、かの君わたしきこえ給ひて」(ではまずあの方を送り出してから)と答えられる。妹「さりともいかでか」(だってそんなわけには)。「猶みおくりきこえん」(いいえ、まあ見送ってあげましょう)。――かく寸刻をのばしつつ参殿を渋られる中宮の心理は、決して功利的打算的な女の心理ではなく、また恋愛に心を充たされた女の心理とも思われない。