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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

線上閱讀和辻 哲郎《日本精神史研究(にほんせいしんしけんきゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 頁

青空文庫

従ってそこに疑団が生ずる。この見解と疑団との対立のために功夫が必要となるのである。ところでこの疑団もまた右の見解に内具する道得が呼び出したものであるゆえに、この功夫は道得と見得とに功夫せられると見られなくてはならぬ。かくて一切の功夫は、人が任意に取り上げるものではなく、道得自身の内より必然に開展しいづるものと解し得られるのである。そうしてそれは、一つの疑団が解けて新しい見解に達しても、その見解が道得でない限り決して止むことがない。新しい見解はさらに新しい疑団を産む。「道得と見得とに功夫せられゆく」という言葉がこの事を含意すると見られるであろう。やがてついに、「この功夫の把定の月ふかく年おほくかさなりて、さらに従来の年月の功夫を脱落するなり。」脱落とは恐らく aufheben に当たる言葉であろう。いまの道得はかの時の見得をそなえたるものであり、一切の功夫は今の道得の内に生かされる。脱落は滅却ではなくして、より高き立場に生かせることである。ここに道得は、一切の見解一切の功夫をそれぞれその立場において殺し、より高き一つの立場において全体的に生かせたものとして現われてくる。