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にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

線上閱讀大杉 栄《日本脱出記(にほんだっしゅつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,254 字 · 151 頁

青空文庫

とか何とか呑気なことを言って、出て行ってしまった。

これが普通なのだとなれば、何も「即刻」なぞという言葉を真に受けて、あわてて出て行くこともない。いったんは、もう帰されたっていい、とも思い、またそう思ったので演説なんぞをやっても見たのだが、こうなるとまた未練が出て来る。

「うちからか、パリからか、どっちかから金の来次第、一つ逃げだしてやろうか。そしてこんどは、まったくの不合法で、勝手に飛び廻ってやろうか。パリへも帰ろう。ドイツへも行こう。イタリアへも行こう。その他、行けるだけ行って見よう。」

僕はこう考えて、一晩ゆっくりとその計画に耽った。と言っても、別に面倒なことはない。かつてもそれを考えて、その方法をいろいろときめたことまでもあるのだ。要するに、少々の金さえあれば、らくに行けることなのだ。

僕はほとんどそうきめて、それからは毎日、半日か一日がかりのちょっとした遠出を試みて、警戒のあるなしをさらにたしかめようとした。

警戒はたしかにない。そして僕はマルセイユのある同志を訪ねて、そっとその相談をした。方法はたしかにある。

これなら、金のつき次第だと思っているところへ、僕がまだ捕まらない前にうちから寄越した手紙が、ある方法で僕の手にはいった。