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にほんだっしゅつき

日本脱出記

大杉 栄

線上閱讀大杉 栄《日本脱出記(にほんだっしゅつき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 76,254 字 · 151 頁

青空文庫

で、僕は、以前から一月には雑誌を出そうと約束していた近藤憲二、和田久太郎等のほかに、近藤栄蔵(別名伊井敬)高津正道等と一緒に、週刊『労働運動』を創めた。前の二人は無政府主義者で、後の二人は共産主義者なのだ。近藤栄蔵は、大杉等の無政府主義者とはたして一緒に仕事をやって行けるか、という注意を堺から受けたそうだが、かえって彼はそれを笑った。僕も一緒にそれを笑った。

最初から僕は、この新聞はこれらの人達の協同に、全部を任せるつもりでいた。僕は仕事の目鼻さえつけば、すぐロシアへ出発する筈にしていたのだ。が、その仕事も始めないうちに、僕は病気になった。ずいぶん長い間そのために苦しんで、そしてしばらく落ちついていたと思った肺が、急にまた悪くなったのだ。医者からは絶対安静を命ぜられた。で、新聞の準備もほとんどみんなに任せきりにしている間に、こんどはチブスという難病に襲われた。

僕の病気は上海の委員会との連絡をまったく絶たしてしまった。Tからすぐ送って来る筈の金も来なかった。が、近藤憲二が僕の名で本屋から借金して来て、みんな一緒になってよく働いた。そして新聞は、僕が退院後の静養をしてほとんどその仕事に与かっていなかった、六月まで続いた。