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きゅうぶんにほんばし

旧聞日本橋

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《旧聞日本橋(きゅうぶんにほんばし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 18,172 字 · 36 頁

青空文庫

だが、道楽息子が直きにまた勘当されたとき、この時こそ自分だけで自分を生かす時機がきたと、離婚のことを言い出すと、先方の親たちは妙なことを言い出した。悴の嫁にもらったのではない、家の娘にもらったのだ。だから、何処へいっても嫁とはいわなかった、娘だといってきていた、実子の娘だと言っていたではないか、帰さないと。

あたしは世間知らずだった。自己のことにばかり目がくらんでしまって、明瞭した眼をもたなかった。真の愛情がないものが、なんでそんなことを言うのか――変だとは思わないで、ただ厭だとばかり思った。だから、厭さが昂じて死にそうな病気ばかりした。生まれた土地に名声のある我が家を、古鉄屋から紳商になりかけた家が、利用するのを察知しなかった。父の身辺にすこしの危惧も警戒もしなかった。

父は、前にも言った通り、自由党の最初に籍をおいたが、脱党して以来口ぐせのように、法律も身にあった職業ではない、六十になったら円満にこの家業もやめると、子供であったあたしなどにさえ、時折り洩らしていたほどで、あたしを相手に茶をたてたり、剣を磨いたり、下手な俳句をひねったりして、よく母に、あなたが発句をつくるので考え込むから、おやすが真似をして溜息をつくと、間違った抗議をしたものだった。