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わせだかぐらざか
早稲田神楽坂
加能 作次郎
線上閱讀加能 作次郎《早稲田神楽坂(わせだかぐらざか)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,407 字 · 46 頁
それから少し行ったところの寄席の牛込亭は、近頃殆ど足を運んだことがないが、一時はよく行ったものだった。つい七、八年か十年位前までは、牛込で寄席といえばそこが一等ということになっていた。落語でも何でも一流所がかかっていつも廊下へ溢み出すほどに繁昌し、活動などの盛んにならない前は牛込に住む人達の唯一の慰楽場という観があった。私が小さんや円右の落語を初めて聞いたのもそこであった。綾之助や小土佐などの義太夫や加賀太夫や紫朝の新内にはじめて聞きほれたのも、矢張りその牛込亭だったと思う。ところがどういうわけでか、数年前から最早そういう一流所の落語や色物がかからなくなって、八幡劇だの安来節だのいうようなものばかりかかるようになった。それも一つの特色として結構なことであるし、それはそれとして又その向々の人によって、定めて大入繁昌をしていることと思うが、私としては往時をしのぶにつけて何となくさびしい思いをせざるを得ないのである。場所もよし、あの三尺か四尺に足らない細い路地を入って行くところなど、如何にも古風な寄席らしい感じがしたし、小さんや円右などの単独かんばんの行灯が、屋根高く掲げられているのもよく人目を引いて、私達の寄席熱をそそったものだった。