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めいじてつがくかいのかいこ

明治哲学界の回顧

井上 哲次郎

線上閱讀井上 哲次郎《明治哲学界の回顧(めいじてつがくかいのかいこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 11,235 字 · 22 頁

青空文庫

永遠無窮でしかして絶対的である。この永遠無窮の道を体現すると然らざるとによって、聖凡の差異が生じてくるのである。聖人の人格の永久価値を失わないというのは、永遠不滅の道を体現するからである。道はすなわち理想である。人間は理想を実現して進むのであるが、完全にその理想を実現しうるということは、なかなか容易でないけれど、ある人格者は極めて稀なる場合であるけれどもほとんどそれを完全に実現して絶対無限の意識状態に到達したのである。それは孔子だの、仏陀だの、クリストだの、ソークラテースだの、そういう後世に模範を垂れた古今の聖人である。聖人といえどもその人格が絶対的に完全なりや否や、なお研究の余地があるようである。けれども、比較的によく道を体現し、人格を完成したものとして、長く後世に模範を垂れたものというべきである。この観点からいえば、孔子だの、仏陀だの、クリストだの、ソークラテースだの、みな人格修養上最好の実例として仰慕すべきところである。

倫理には普遍的一般的方面と特殊的差別的方面とがあるものと見なければならぬ。明治以来、倫理を講ずるものがややもすれば一般的普遍的の方面のみに着眼して、特殊的差別的方面を度外視するの傾向あるは、実践道徳の上から見てはなはだその当を得ざるものである。