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めいじざのしょかんをきょしくんにとわれて
明治座の所感を虚子君に問れて
線上閱讀夏目 漱石《明治座の所感を虚子君に問れて(めいじざのしょかんをきょしくんにとわれて)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 2,488 字 · 5 頁
芸術と、人情と、頭脳が、平均を保っている。また渾然融合している。幕の開いた時の感じもよかった。幕の閉まる時の人物の位置態度も大変よかった。そうして御俊も伝兵衛も綺麗であった。ただ与次郎なるものが少々やりすぎる。今一歩うち場に控えればあんな厭味は出ないはずである。
○しまいの踊は綺麗で愉快だった。見ていて人情も頭脳もいらない。ただ芸術的に眼を喜ばせる単純なものであるから、そこが自分にはすこぶる結構であった。
○最後に一言するが、自分は午後の一時から、夜の十一時まで明治座の中で暮した。時間から云うと大変なものである。これは日本の芝居が安過ぎるか、または見物が慾張り過ぎる証拠である。実を云うと自分はもっと早くすむ方が便利であった。ただ、まだあるものを途中で出るのはもったいないから、消極的に慾張ってしまいまでいたのである。自分と同感の人も大分あるだろうと思う。しかし見物が積極的に、この長時間に比例するほど慾張るが故、役者もやむをえず働らくとすれば役者ははなはだ気の毒である。同盟してもっと見物賃を上げるが好い。牛肉でも葱でも外の諸式はもっとぐっと高くなりつつある。