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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 42,950 字 · 85 頁

青空文庫

「では……」

克子は思い決して一礼し、しッかと力をこめて、兄の部屋の扉に向って進んだ。

★

病床の兄はねむっていた。起してはなるまいと思い、跫音を殺して、ようやく枕元の椅子にたどりついて腰を下して、さて途方にくれた。

「なんておやつれになったのだろう」

思わず溜息がもれた。婚礼の三日あと、良人とともに挨拶にきたときは、こんなにやつれた兄ではなかった。それからわずか十数日で、頬の肉はゲッソリ落ちて、手は骨だけのように小さく細くなっているではないか。

克子は兄の寝顔を見つめて、悪夢を見つつある思い。どれぐらい坐っていたか、それも判じがたいような悲しさであった。せいぜい三十分ぐらいのものであったらしい。兄は目をさました。兄の目が克子を見つめてまだいぶかっているうちに、

「克子です。御気分はいかがですか」

顔をよせてニッコリ笑いかけると、宗久はジッとみつめて、うなずいて、

「克子か。そうか、会いたかった。ここは、どこだ?」

「ここはお兄様のお部屋です」

宗久は何か寝床の中を手さぐりしていたが、首をふって、

「ウソだろう」

「ほら、あたりをごらんなさいませ。