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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,745 字 · 44 頁
すると、稲吉が頓狂な声をあげた。
「そう云えば、その人は、たしかに、来たぜ。なア。角平あにい。石田屋の者だが、メクラばかりで手が足りなけりゃア、手伝ってやるが、どうだ、と云って、表の戸をあけて声をかけた人があったよ。そのとき、下火になった、下火になった、てえ人々の叫び声がどッとあがったから、下火になったらしいじゃありませんか、と訊くと、しばらくカマチへ腰かけて話しこんで戻って行ったね」
弁「オレにはそんな話はしなかったが、それじゃア本当に寄ってくれたんだなア」
新「あの晩はメクラばかりで困ったろう」
稲「いえ、困ったのは婆アばかりで。あの婆アのドッタンバッタン慌てるッたら有りゃしねえな。たしかにタタミもあげていましたぜ。そのときウチに居たのは婆アのほかには、私と角平あにいだが、婆アの奴め、庭へ穴を掘れと云やアがる。表は一面に真ッ赤じゃないか。メクラにも火の色ぐらいは分らア。おまけに火の粉は降ってきやがる。穴なんぞ掘ってられやしない。とても庭に立ってられやしないよ。コチトラは焼けて困る物がないから、落ちついたものよ。イザといえば逃げられるように、出口に近いところで、外の様子をうかがっていたね」