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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,713 字 · 54 頁

青空文庫

その場に居合わせた成子はこの言葉をよく頭にたたみこんだ。全作の命令は秘密くさいものではなかった。ニコリともしない毎日の病床生活や激痛の呻吟にゆがんだ泣顔を見なれているから、彼としてはむしろ珍しく生き生きした声であった。良からぬことを予期したものでないようだった。成子がこの言葉に聞き耳をたててよく頭にたたみこんだのは、珍しく明るい声であったからだ。

「八時の約束だが、もしものことがあるから、今から門に立つがよい」

こうせきたてて返らせた。この会話をきいていたのは成子だけで、大伍はナミ子をつれてきて、ただちに室外へ去ったのである。そのあとは成子は知らない。彼女は自分の部屋へ戻って、ねむった。

ナミ子が伊助をつれてきたのは、まさに八時であった。言われたように庭の木戸から裏階段を案内した。この階段を登ると北側のドアが近いが、このドアはカギをかけたまま開けてはならぬ定めであるから、廊下を一曲りして控え部屋へ案内した。ここに大伍が待っていた。二階は陳列室と控え部屋の二間しかない。陳列室は南北に十二間、東西に五間の広間。北と西が廊下で、西の廊下を突き当ると控えの間。