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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 頁

青空文庫

肩からヒジまでの部分は昔はカイナなぞと云ったのがここに当るのだそうだが、今は俗に「二の腕」と云って、とにかく名称がある。ところがヒジから手クビまでとなると、これを示す明確な名称がない。上半分を二の腕と云うのだから、下半分は一の腕。そんな名称はないが、つまり上半分が二の腕に対して、下半分はただの「腕」が本来その部分の名称だったのであろう。渡辺綱が鬼の腕を切る。その腕はヒジから下の部分だけで、肩からの全部ではない。昔はたしかにそうだった。

けれども今日通用している日常語の腕は肩から先の手の全部をさすのが普通で、腕と手は同じ意味である。そして、ヒジから手クビまでの部分を特に示している名称は今の日常語には見当らないのである。目下の日常の日本語はこまかいバラバラ事件には不向きで、今年の板橋バラバラ事件は切り方が大マカだから、新聞記者も苦労せずにすんだのである。ところがこッちのバラバラは大そうコマメに切り分けているから、私は思わぬ苦労にぶつかった。ヒジから手クビまでの間だとか、足クビから下方、足のユビまでの部分だとか、一々いそがしくて舌がまわらないね。読者諸賢も小生の舌のまわらぬ苦労のほどを御察しねがいたいです。