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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 28,486 字 · 57 頁
場所と云い、時と云い、まさにかくあるべきところである。楠は心中にコオドリして喜んだが、色には見せず、怪しまれぬ程度に訊きだしてみると、次のことが分った。
寺島の才川平作といえば名題の高利貸しであった。間接に千や二千の人間は殺してるようなものだぜ、という鬼の商法で巨万の財を築いた男。ところが、六年前に長年連れ添う女房をなくして以来、その命日の一月三十一日にタケノコを食う。これは女房の何よりの好物であった。もっとも女房存命中は出盛りの季節に食ってたもので、寒中にタケノコを食うゼイタクを鬼の才川平作が許すわけはない。ところが女房が死ぬと、寒中というムリをいとわず、命日にタケノコ料理とタケノコメシをつくり、近親だけ集めて法要をいとなむ。どうも女房をなくして以来、鬼の心境が変ったようだともっぱらの評判であった。
当日魚銀が才川家へおさめたものは料理の折ヅメ十四人前。タケノコメシが五升。十二時十分前におさめた。つまり昼メシだ。被害者がその折ヅメを才川家で食ったとすれば午すぎに殺されているのだが、ミヤゲに持ち帰って夕食に食っているかも知れない。折ヅメ料理にもタケノコの煮ツケがあった。