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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 頁

青空文庫

★

新十郎一行が日本橋の蛭川商会へ案内されたのは二日後のことである。現場はすでに取り片づけられていた。

真弓の居室は店からはいって一番奥の離れのような別棟であった。廊下を渡ると扉がある。扉の向うが真弓の部屋で、まず便所があり、十二畳の椅子テーブルのセットを置いた板敷きの間があって、北側が土蔵の入口になっていた。

その奥に十畳の茶の間と六畳の小部屋があり、突き当りが十二畳の寝間であった。南側がちょッとした庭。その片隅にイナリがあった。北側にも小さな庭があり、西はすぐ塀で、裏木戸があるが、これは道路側からは開けることができない。手がかりがないからである。

犯人は六畳の小部屋の北側の窓をあけて外へ降り、木戸をあけて逃げ去ったもののようである。窓が開いていたから、逃走の経路は分った。北側は土蔵によって母屋とさえぎられているから、そこを逃げ口に選ぶのは当然だったが、侵入の順路が分らない。

由利子は父の入浴中に各部屋の雨戸を閉じた。六畳の雨戸もそうである。上下の桟を特に注意しておろすことも忘れなかった。ところが雨戸には外側からムリにこじ開けた形跡が全くなかった。