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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 26,208 字 · 52 頁
買いつけも売りこみも、兄が一手でやった。大量の荷が送りこまれ、それがどんどん捌かれていった。
兄は自ら小僧たちを雇入れて教育し、指図してめまぐるしく活躍させた。彼の手で育てられた小僧は、彼が掛けたゼンマイ通りに動きまわる生きた人形のようであった。
父が出生地からつれてきて秩父や両毛の呉服物の買いつけに働いていた川根はまったく無用の存在となった。彼のノンビリした商法は兄の機構の中ではむしろ邪魔になる存在だった。彼は家事向きの番頭となり、店では用のない存在となってしまった。
父も持ち前の商才にたけてはいたが、田舎育ちのために、性格に反して大事をとり、手堅い商法からハミだす勇気を失っていた。息子の大胆な商法が、父の持ち前の目をひらいた。父はにわかに覇気マンマンの豪商気風になり変った。今度はそれをたしなめるのが息子であった。
「向う見ずに取引きをひろげたってダメですよ。ハッキリと計算にもとづいてやるのが商法の鉄則ですよ。私に相談をかけずに勝手な取引をするのは止して下さい」
久雄は時々強い語気で父をたしなめた。その久雄はようやく二十三歳だった。父はグッとこみあげる怒りに身をふるわして叫ぶのが常だった。