輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,829 字 · 45 頁
★
とっくに午をすぎている。虎之介がとんで帰ると、すでに新十郎の一行は出動したあとである。アッと驚くとたんに帯がとけてしまったのを、ひきずりながら一目散に走りだそうとすると、書生の晏吾がよびとめて、
「オットット。虎大人。どこへ飛んで行くツモリだね」
「ヤ。しまった! オレの行く先はどこだ」
「カケコミ教だよ。帯ぐらいしめるのを忘れなさんな」
「ナムサン、シマッタ!」
せっかく種を仕込んで来たのに先手をうたれては助からない。神楽坂から久世山までは谷を一ツ越すだけだが、走っても二十分はかかる。ふとっているから心臓の働きがまことに不充分で、カケコミ教へ辿りついた時には顔面蒼白、全身強直してヒキツケを起しそうである。哀れや、おそし。すでに警官百名、今や隊伍をととのえてひきあげるところ。すでに事件は終ったのである。
「どうした? 世良田摩喜太郎をひッとらえたか」
警官隊の先頭に立つ剣術の弟子に向ってきくと、
「ハッ、世良田と別天王は見事に自害して果てました」
「ムムム」
と歯をくいしばって、白目を返し、虎之介はドスンとその場へひっくり返った。精魂つき果てたのである。