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めいじかいか あんごとりもの

明治開化 安吾捕物

坂口 安吾

線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,134 字 · 43 頁

青空文庫

彼らを見ると、後に残っていた少数の親戚も、逃げるように帰ってしまった。残ったのは正二郎と、その嫁のお久美だけである。

正二郎は小心の父に輪をかけた弱虫で、子供の時から同年輩のこの連中にいじめられながら、逃げ隠れするようにしてコソコソと育った男。蛇にみこまれたと同じことで、自分の分別でこの連中をどうすることもできない。云われる通りに酒をだすと、キリもなく飲み、酔いしれてバクチをはじめる。夜があけると、一ねむりして、日暮れに目をさますと、また酒を所望し、あげくにはバクチをはじめる。四日四晩それがつづいた。五日目の朝、数名の仲間があわただしく飛びこんできて、

「行方を探すのにどれぐらい苦労したか知れやしねえや。こんなところにトグロをまいてる時じゃアねえやな。そろそろ戦争がはじまるぜ。上野寛永寺へたてこもることにきまったのだ。おいらも威勢を見せてやろうじゃないか」

「それは面白いな。酒もバクチもちょうど鼻についてきたところだ。正二郎。長らく世話になったが、面白い遊びを教えてやるから、一しょにこい」

江戸城開け渡し。軽挙モウドウをいましめるフレはでているのだから、正二郎はフレに反した戦争などはしたくはないが、この連中にこう云われると、否応ない。