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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
線上閱讀坂口 安吾《明治開化 安吾捕物(めいじかいか あんごとりもの)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,134 字 · 43 頁
おまけにドン底暮し、貧民窟には、どこよりも寄食者、つまり居候が多いという妙な事実を御存じであろうか。嘘ではない。それが当時の貧民窟の実情であった。有縁無縁の無能力者、惰民の類がゾロゾロと金魚のウンコのようにつながってころがりこんでいるものだった。
明治二十年ごろの平均賃金が、大工、左官、石工などで二十二、三銭(日給)、船大工、染物職などは十七銭、畳屋と経師屋などが二十一銭ぐらいで、一番高いのが、洋服仕立の四十銭だ。(和服仕立は十九銭)。夫婦に子供一人の生活で、米代が一升十銭、薪炭代一銭、肴代二銭五厘、家賃一銭五厘、石油代五厘、布団損料一銭五厘、最低これだけで十七銭。酒代、タバコ代を入れると二十銭をこす。家族三人だけの最低生活が丁度であるが、雨の日は仕事がないから、人を殺すに手間ヒマいらぬ、雨の十日もふればよい、というのは全く当時の実状である。残飯が上等百二十匁一銭、お焦百七十匁一銭、残菜一人一度分一厘、残汁同上二厘、だいたい残飯生活の一人当りは六銭ですんだというが、残飯にきりかえても雨の日はまかなえきれない。
芸人、人力車夫、チョボクレ、立ん坊などは更に甚しいものだった。