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はる

春

豊島 与志雄

線上閱讀豊島 与志雄《春(はる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 10,464 字 · 21 頁

青空文庫

」

そこへ額の白い一人がはいりこんでくる。

「もういいじゃないか、それくらいで……。白っばくれるのは、何より有力な証拠さ。そして、一度あれば、二度三度と……当り前じゃないか。」

それでも「慷慨悲憤」はなお、お喜代の口から白状させようとする。彼は何かしら、「刺繍」に――絹ハンケチを買ってやった者に、反感を懐いてるらしい。その晩「刺繍」が一人室に残って手紙を書いてることからきたものらしい。

「知らないわ。」

お喜代はぶっきら棒にそう云って、わきを向いてしまう。

「それみろ、」と「白額」が云う、「公爵令嬢の御機嫌を損ねたじゃないか。」

「いやこれは失礼しました。」と「慷慨悲憤」はとぼけた態度に出る。私はただ、御令嬢のキスの価何程なりやと、そういう疑問を起しましたものですから。」

「何だって、」と他の一人が乗り出してくる、「キスの価が何程なりや……。」

「そうさ、」とまた急に調子が変る、「例えば、刺繍絹ハンケチ一個に対して、何回のキスを支払うか、という問題さ。」

「そいつは面白い。是非解決すべき問題だね。」

お喜代はつんと澄しこんでいる。たるんだ頬の肉附が緊張すると、妙になま白い彫刻的な横顔にみえてくる。