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しゅんちゅう
春昼・春昼後刻
泉 鏡花
線上閱讀泉 鏡花《春昼・春昼後刻(しゅんちゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 51,079 字 · 102 頁
勝では可い!
ト草鞋を脱いで、跣足になって横歩行をしはじめた。あしを濡らして遊んでいる。
大きい方は仰向けに母衣を敷いて、膝を小さな山形に寝た。
磯を横ッ飛の時は、その草鞋を脱いだばかりであったが、やがて脚絆を取って、膝まで入って、静かに立っていたと思うと、引返して袴を脱いで、今度は衣類をまくって腰までつかって、二、三度密と潮をはねたが、またちょこちょこと取って返して、頭を刎退け、衣類を脱いで、丸裸になって一文字に飛込んだ。陽気はそれでも可かったが、泳ぎは知らぬ児と見える。唯勢よく、水を逆に刎ね返した。手でなぐって、足で踏むを、海水は稲妻のように幼児を包んでその左右へ飛んだ。――雫ばかりの音もせず――獅子はひとえに嬰児になった、白光は頭を撫で、緑波は胸を抱いた。何らの寵児ぞ、天地の大きな盥で産湯を浴びるよ。
散策子はむくと起きて、ひそかにその幸福を祝するのであった。
あとで聞くと、小児心にもあまりの嬉しさに、この一幅の春の海に対して、報恩の志であったという。一旦出て、浜へ上って、寝た獅子の肩の処へしゃがんでいたが、対手が起返ると、濡れた身体に、頭だけ取って獅子を被いだ。