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しょうわにねんのにかかいとびじゅついん
昭和二年の二科会と美術院
寺田 寅彦
線上閱讀寺田 寅彦《昭和二年の二科会と美術院(しょうわにねんのにかかいとびじゅついん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 3,272 字 · 7 頁
新しい人にもおもしろい絵があったが人と画題を忘却した。なんと言っても私には津田、安井二氏の絵を見るのが毎年の秋の楽しみの一つである。
美術院
近ごろの展覧会の日本画にはほとんど興味をなくしてしまった。すべてがただ紙の表面へたんねんに墨と絵の具をすりつけ盛り上げたものとしか感じられない。先日の朝日新聞社の大展覧会でみた雅邦でもコケオドシとしか見えなかった。春挙でも子供だましとしか思わなかった。そんな目で展覧会を見て評をするのは気の毒のような気もする。
近藤浩一路の四五点はおもしろいと思って見た。しかし用紙を一ぺんしわくちゃにして延ばしておいてかいたらしいあの技術にどれだけ眩惑された結果であるかまだよくわからない。ともかくもこの人の絵にはいつもあたまが働いているだけは確かである。頭のない空疎な絵ばかりの中ではどうしても目に立つ。
川端竜子の絵もある意味であたまは働いているが、いつも少し見当のちがったほうへ働いていはしないか。人に見せる絵と思わないで、自分で一人でしんみり楽しめるような絵をかくつもりでそのほうに頭を使ったら、ずっといい仕事のできる人だろうにと思う。