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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(一)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,663 字 · 97 頁

青空文庫

わたしはその時まだ十二であった。Kのおじさんは、肉縁の叔父ではない。父が明治以前から交際しているので、わたしは稚い時からこの人をおじさんと呼び慣わしていたのである。

わたしの質問に対して、Kのおじさんも満足な返答をあたえてくれなかった。

「まあ、そんなことはどうでもいい。つまらない化け物の話なんぞすると、お父さんや叔父さんに叱られる」

ふだんから話し好きのおじさんも、この問題については堅く口を結んでいるので、わたしも押し返して詮索する手がかりが無かった。学校で毎日のように物理学や数学をどしどし詰め込まれるのに忙がしい私の頭からは、おふみという女の名も次第に煙りのように消えてしまった。それから二年ほど経って、なんでも十一月の末であったと記憶している。わたしが学校から帰る頃から寒い雨がそぼそぼと降り出して、日が暮れる頃には可なり強い降りになった。Kのおばさんは近所の人に誘われて、きょうは午前から新富座見物に出かけた筈である。

「わたしは留守番だから、あしたの晩は遊びにおいでよ」と前の日にKのおじさんが云った。わたしはその約束を守って、夕飯を済ますとすぐにKのおじさんをたずねた。