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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,663 字 · 97 頁
その晩は遅く帰ったので、おじさんは明くる朝早く起きるのが辛かった。それでも約束の時刻に約束の場所で半七に逢った。
「きょうは先ず何処へ行くんだね」
「貸本屋から先へ始めましょう」
二人は音羽の田島屋へ行った。おじさんの屋敷へも出入りするので、貸本屋の番頭はおじさんを能く知っていた。半七は番頭に逢って、正月以来かの小幡の屋敷へどんな本を貸し入れたかと訊いた。これは帳面に一々しるしてないので、番頭も早速の返事に困ったらしかったが、それでも記憶のなかから繰り出して二、三種の読本や草双紙の名をならべた。
「そのほかに薄墨草紙という草双紙を貸したことはなかったかね」と、半七は訊いた。
「ありました。たしか二月頃にお貸し申したように覚えています」
「ちょいと見せてくれないか」
番頭は棚を探して二冊つづきの草双紙を持ち出して来た。半七は手に取ってその下の巻をあけて見ていたが、やがて七、八丁あたりのところを繰り拡げてそっとおじさんに見せた。その※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28) 絵は武家の奥方らしい女が座敷に坐っていると、その縁先に腰元風の若い女がしょんぼりと俯向いているのであった。