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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(一)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 47,663 字 · 97 頁
「なに、今に判るだろう。おかみさんにも、番頭さんにも、あまり心配しねえように云って置くがいい。きょうはこれで帰るから」
半七は神田へ帰って親分にこの話をすると、吉五郎は首をかしげて、その番頭が怪しいぜと云った。しかし半七は正直な清次郎を疑う気にはなれなかった。
「いくら正直だって、主人のむすめと不埒を働くような野郎だもの、何をするか判るもんか。あした行ったらその番頭を引っぱたいてみろ」と、吉五郎は云った。
その明くる朝の四ツ(十時)頃に半七が重ねて菊村の店へ見廻りにゆくと、店の前には大勢の人が立っていた。大勢は何かひそひそ囁きながら好奇と不安の眼をけわしくして内を覗き込んでいた。近所の犬までが大勢の足の下をくぐって仔細ありげにうろついていた。裏へまわって格子をあけると、狭い沓脱は草履や下駄で埋められていた。お竹は泣き顔をしてすぐ出て来た。
「おい。何かあったのかい」
「おかみさんが殺されて……」
お竹は声を立てて泣き出した。半七もさすがに呆気に取られた。
「誰に殺されたんだ」
返事もしないでお竹はまた泣き出した。賺して嚇してその仔細をきくと、女あるじのお寅はゆうべ何者にか殺されたのである。