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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

お福は正直に勤める女といい、その宿も遠くない根岸にあるので、月に一度くらいは実家へ立ち寄ることを許してある。もちろん半日ぐらいで帰って来る。玉太郎はお福によく馴染んでいるので、宿へ行くときにも必ず一緒に連れて出る。そのほかには殆ど外出したことは無いから、恐らく浅草の先夫をたずねたことはあるまいと云うのである。

「坊やはお福によく馴染んでいるのですね」と、半七はまた訊いた。

「生みの親よりも乳母を慕って居ります。お福の方でも我が子のように可愛がって居りました。それがこんな事になりましたので、お福もやっぱり取りのぼせたのかと思われます」

「根岸の宿へも聞き合わせましたか」

「夜が明けないうちに使を出しましたが、ゆうべから根岸へは一度も姿をみせないと申しますので、なおさら心配いたして居りますような訳でございます」

「このごろ子供のおもちゃに河豚の太鼓がはやりますね。カンカラ太鼓とか云うようだが……。お店の坊やはそんな物を玩具にしますかえ」と、半七は何げなく訊いた。

玉太郎も河豚太鼓を持っていると、要助は答えた。先月お福と一緒に根岸へ行った時に、その太鼓を持って帰った。