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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

「やあ、親分。いらっしゃい」

それは船頭の金八であった。

「おい、金八」と、半七は笑いながら云った。「今度は飛んだ時化を食ったな」

「まったく飛んだ時化を食いました。あの日はわっしの出番でしたが、千太がおれに代らせてくれと云って、自分が出て行くと、あの始末。お蔭でわっしは災難を逃がれましたが、千太を身代りにしたようで何だか気が済みませんよ」

「それじゃあ、おめえの出番を千太が買って出たのか。そうして千太のゆくえは知れねえのか」

「あいつは泳ぎますから、無事に揚がって来て、一旦は家に帰ったのですが、あとが面倒だと思ったのでしょう、いつの間にか姿をかくしてしまったので、親方も困っていますよ」

「千太の家はどこだ」

「深川の大島町、石置場の近所ですが、おやじが去年死んだので、世帯を畳んでしまいました」

「浅井の屋敷で死んだ者は、殿さまと……」

「いいえ、殿さまは……」

「まあ隠すな。おれはみんな知っている。お妾とお嬢さまと女中三人、そのなかでお嬢さまと女中ひとりが揚がらねえのだね」

「そうです。お嬢さまとお信という女中が見付かりません。もうあげ汐という時刻だのに、やっぱり沖の方へ持って行かれたと見えます。