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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

いずれも関口屋の所有で、その奥の一軒には年造という若い大工の独り者が住んでいたが、若い職人であるから、この時節に酒も飲む、夜歩きもする、その不養生の祟りで疫病神に見舞われた。かれは夜半から吐瀉をはじめて、明くる日の午後に死んだ。

独り者であるから、仲間の友達や近所の者があつまって葬式を出すことになった。関口屋でも自分の家作内であるから、店の者に香奠を持たせて悔みにやった。

「うちの地面うちへも、とうとうコロリが来た」と、主人の次兵衛も顔をしかめた。

コロリの伝染することを知っていても、それを予防することを知らないのであるから、近所の人々はいたずらに恐怖するばかりであった。この頃は伝染を恐れて、コロリの死人の家へは悔みや通夜に行く者が少なくなったが、それでも年造の家には近所の者をあわせて五、六人が集まって、型ばかりの通夜を営んだ。年造のとなりに住んでいるのは、大吉という煙草屋であった。これも若い独り者で、煙草屋といっても店売りをするのではなく、刻み煙草の荷をかついで、諸藩邸の勤番小屋や中間部屋、あるいは所々の寺々などへ売りに行くのである。彼は関口屋の長屋に住んでいるばかりでなく、商売物の煙草を関口屋から元値で卸して貰っているので、朝に晩に親しく出入りをしていた。