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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

唸りながらお角に迫って来るのです。これにはお角もおどろきましたが、窓の扉が堅く閉っていて、どうして明けるのか判らない。入口の扉にもいつの間にか錠がおろしてある。あわててお角は両肌を入れて、部屋じゅうぐるぐると逃げ廻っていましたが、なにしろここへ閉じこめられて逃げ出すことが出来ない。

こうして一ほども過ぎた後に、誰があけたか知らないが、入口の扉が自然にあきました。お角は真っ蒼になって出て来ました。犬もおとなしく付いて来ました。

お角は黙って帰ろうとすると、島田も出て来ました。二人はやはり黙ったままで神奈川の家へ帰りました。これはお角ひとりの申し立てで、アグネスも島田も死んでしまったのですから、たしかなことは判りません。一体なんの為にこんな事をしたのか、犬を使ってお角を咬み殺させるつもりか、それとも何かほかに目的があったのか、それらのことも判り兼ねます。アグネスもお角に嫉妬を懐いている。島田もほかに情夫があると云うのでお角に嫉妬を感じている。その二人が共謀して、何かお角を苦しめるつもりで、こんな事を企てたらしいと想像するのほかはありません。お角が無事に出て来たので、二人は当てがはずれたかも知れません。