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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

おれに一応知らせてくれ」

「承知しました」

こうして油断なく網を張っていたのであるが、禍いは意外のところに起こった。二月二十一日の夜の五ツ半(午後九時)頃に、遠州屋の主人才兵衛は浅草の聖天下で何者にか殺害された。短刀か匕首で脇腹を刺されたのである。所持の財布の紛失しているのを見ると、おそらく物取りの仕業であろうという噂であった。

浅草の今戸には、日本橋の古河という大きい鉄物屋の寮がある。才兵衛はそこへ茶道具類を見せに行って、その帰り途で災難に逢ったのである。聖天へ夜参りをしたのでもあるまいに、なぜ待乳山の下まで踏み込んだのか、その仔細は判らなかったが、才兵衛に似たような人物が一人の男と何か云い争いながら通るのを見た者があると云うので、かれらは何かの話でここへ踏み込んだらしく、したがって普通の物取りではあるまいという噂も生まれた。

才兵衛の検視に半七は立ち会わなかったが、その下手人は大抵想像された。その噂を聞いて、彼は善八と一緒に御成道の遠州屋へ乗り込むと、才兵衛の死骸はまだ引き渡されていないと見えて、店の番頭らは帰って来なかった。

家内の者を遠ざけて、半七は女中のお熊を店さきへ呼び出した。