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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

「又かたき討ちか」と、半七はつぶやいた。

笹川の鶴吉はこの瓦版を買って、又もや一心に読んでいるであろう。それを思いやると、半七の胸は鉛のように重くなった。鶴吉は勿論、飼葉屋の直七も定めて頼み甲斐のない奴と、自分を恨んでいるかも知れない。半七は暗い心持で、夏の日盛りの町をあるいて帰った。

七月になって、鶴吉が中元の礼に来た。半七はその顔を見るのが辛かった。

「まったくお前さんにゃあ申し訳がねえ」と、半七は詫びるように云った。「わたしも決して油断しているわけじゃあねえが、なんにも手がかりが無いので困り抜いています。まあ、もう少し辛抱しておくんなせえ」

「その御挨拶では恐れ入ります。先月の住吉町のかたき討ちなぞは、九つの時に親を殺されて、二十年もかたきを狙っていたのだと申します。それを思えば、私などはまだ一年にもなりませんのですから……」

鶴吉は果たして瓦版を読んでいたのである。ことしは新盆であるから、殿さまと姉の墓まいりに行くなどと、彼は話して帰った。折りから表を通る燈籠売りの声も、きょうの半七には取り分けてさびしくきこえた。

「畜生、どこに隠れていやあがるか」