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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

番頭もそのわけを薄々知っているので、そんなものを貰ってはあとが面倒だと思って、折角だが受け取れないと云う。その押し問答が若主人の耳にはいると、信次郎は奥から出て来て、おまえからそんな物を貰う覚えはないと、激しい権幕で呶鳴り付けたそうです」

「激しい権幕で呶鳴り付けたか」と、半七はうなずいた。

「主人の勢いがあんまり激しいので、音造の野郎もさすがに気を呑まれたのか、それとも大勢がごたごたしている所で喧嘩をしちゃあ自分の損だと思ったのか、主人にあたまから呶鳴り付けられて、尻尾をまいてこそこそと逃げて帰ったそうです。どっちにしても、意気地のある奴じゃありませんね」

善八は軽蔑するように笑っていた。

四

やがて松吉も帰って来た。

その報告によると、浅草の観世物小屋では、当日お半の来る前は客足がしばらく途切れていた。お半の少しあとから若い男がはいった。それから男と女の二人連れ、その次に長助、すべて前に云った通りである。長助はもう判っているが、他の男女三人の人相、年頃、風俗、その説明を松吉から聞かされて、半七は肚のなかでほほえんだ。

「じゃあ、いよいよ仕事に取りかからなければならねえが、松は木戸番に顔を識られているから拙い。