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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(五)
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁
「髪切りは時々に流行りました。あれは何かのいたずらか、こんにちの言葉でいえば一種の色情狂でしょうね。そういうたぐいの髪切りは、暗いときに往来で切られるので、被害は先ず女に決まっていましたが、それとは違って、家のなかで自然に切られる事がある。寝ているうちに切られる事がある。これは別に流行ということも無いので、誰の仕業だか判りません。なにかの魔物の仕業だろうと云うことになっていました」
「これも女が多いんですか」
「やっぱり女が多かったようです。若い女が眼をさまして見ると、島田髷が枕元にころりと落ちている。これは泣き出すのが当たりまえでしょう。しかし女には限りません。男だって切られることがありました。歩兵屯所の一件なぞがそうです。なにしろ十一人も次から次へと切られたのですからね」
こうなると、鬼がら焼などはどうでもいい。わたしはくずしかけている膝を直した。
「歩兵屯所……。幕府の歩兵ですか」
「そうです」と、老人はうなずいた。「なにしろ幕末は内も外もそうぞうしくなったので、幕府では旗本や御家人の次三男を新規に召し出して、別手組というものを作りましたが、また別に歩兵隊を作ることになりました。