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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(五)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(五)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 215,744 字 · 434 頁

青空文庫

年は二十三で、色の白い、おとなしやかな男で、茶袋の仲間じゃあ花形だという評判です」

「江戸に親類はねえのか」

「さあ、そこまでは判りませんが……」

「そりゃあ亀の方の受持ちだから、なんとか判るだろう。今夜はまあこれで帰って、あした又早く来てくれ」

弥助の帰る頃から、風には雨がまじって来て暴れ模様になった。雨と風と、その音を聞きながら半七は寝床のなかで又考えていると、表の戸を叩いて亀吉がぐしょ湿れの姿ではいって来た。風が強いので、傘は※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28) せないと云うのである。彼は鬢のしずくをふきながら、親分の枕もとに坐った。

「歩兵の一件だけなら、あしたでもいいのですが、ほかに少し聞き込んだ事があるので、夜ふけに飛び込んで来ました」

「どんな聞き込みだ」と、半七は起き直った。

「この頃はどうも物騒でいけません。ゆうべ下谷金杉の高崎屋という小さい質屋へ押込みがはいりました」

この頃の江戸はまったく物騒で、辻斬りや押込みの噂は絶えない。単にそれだけならば、さのみ珍らしいとも思えなかったが、亀吉の報告は確かに半七の注意を惹くものがあった。