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はんしちとりものちょう

時代推理小説 半七捕物帳(六)

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《時代推理小説 半七捕物帳(六)(はんしちとりものちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 196,831 字 · 396 頁

青空文庫

喧嘩でもしたのかえ」

「おまえさんに聞かれるとは知らねえで……」と、千次は頭をかいた。「どうかまあお聞き流しを願います」

彼がどんなことを云っていたのか、半七は実は知らないのであるが、いい加減にばつをあわせて云った。

「むむ、どうもおめえの方がよくねえようだな」

「相済みません。どうぞ御勘弁を願います」と、千次は又あやまった。

見たところ彼はそれほど悪党でもなく、所詮は地廻りの遊び人に過ぎないらしい。半七は笑いながら云った。

「ただ御勘弁と云っても、むむ、そうかとばかりも云っていられねえ。どうも此の頃はおめえの評判がよくねえからな。ともかくもそこらの番屋まで来て貰おうか」

嚇されて、千次はいよいよ慌てた。

「親分、いけねえ。番屋へ連れて行って、どうするのです」

「どうするものか。都合によっちゃあ帰さねえかも知れねえ」

「わっしは悪い事をしやあしません。これでもお上の御用を勤めたこともあるので……」

「御用を勤めたというのは、石町の金蔵を指したことを云うのか」と、半七はまた笑った。「それはおれも知っているが、今あのさつきへ行って何を云ったのだ。おれはみんな知っているぞ」